お天気歳時記　春夏秋冬

（58）猛暑（平成１９年８月）

今年の夏（８月）は特に暑く、各地で猛暑日が連続し１６日には埼玉・熊谷と岐阜・多治見で最高気温:４０．９℃を記録。
これは、１９３３年７月２５日に山形市で記録した４０．８℃を７４年ぶりに上回る国内最高気温でした。

下の図は１９年８月の月平均５００ｈＰａ高度と同偏差図です。
これを見ますと、８月を通して日本列島付近は太平洋高気圧にしっかり覆われていたことが見て取れます。

今年の猛暑の原因は、関東地方から東海に居座る太平洋高気圧にあります。
この高気圧は非常に強い勢力で、例年より北西への張り出しが強く、日本列島付近に位置しています。

強い勢力をもたらした原因と考えられるのが、当初予想されていた「ラニーニャ現象」です。
ラニーニャ現象の時には、東風が平常時よりも強くなっています。このため、西部に暖かい水が厚く蓄積する一方、
東部では冷たい水の湧き上がりが強くて海面水温が平常時よりも低く、東西の海面水温の差が平常時より大きくなっています。
また、インドネシア近海の海上では積乱雲がいっそう盛んに発生します。
今年５月、南米ペルー沖で発生を確認、８月になって現象が強まり、フィリピン側に暖流を送っています。（強い東風の影響）
そのため、上昇気流が起きて対流活動が活発になり、日本上空の太平洋高気圧の勢力を強めました。

一方、今夏は太平洋高気圧の中心が、いつもの日本の南東海上ではなく、関東近くまで北上しています。
その理由の一つは、偏西風の蛇行が考えられます。
例年偏西風は、日本の西から東に流れているが、今年は朝鮮半島付近で流れを変え、北に向かって蛇行していました。
その影響で南側から暖かい空気が入り込み、高気圧を北西に動かしたと考えられます。

連日、炎天が続き、夏特有の夕立が少ないのも今年の特徴です。
太平洋高気圧の勢力が強く天気が安定し、上空に寒気が入りにくい事が原因でしょう。
夕立などの雨で大気の温度が下がらず、地表も冷えないため熱帯夜が多くなっています。
このことで気温の低下が少なく、更に日中に太陽で熱せられ、日中の気温を押し上げられます。
日本最高気温塗り替えた多治見ではこのほかに、地形的要因やフェーン現象も記録更新の原因と考えられます。

アメダス大垣における１９年８月の気象要素を表にしました。
猛暑日が１５日間、また寝苦しい熱帯夜が８月３日から２２日まで２０日間連続しました。

平成１９年８月の大垣における平均気温の推移です。
８月の３１日間のうち２５日が平年を上回りました。上の表でも分かるように平年を１．６℃も上回りました。

平成１９年８月の大垣における最高気温の推移です。
月初からだんだん気温が上昇し、お盆過ぎにピークを迎え多治見で４０．９℃を記録した１６日には大垣でも３８．６℃を記録しました。